○高野町議会基本条例

令和5年3月27日

条例第18号

目次

前文

第1章 総則(第1条)

第2章 議会及び議員の活動原則(第2条・第3条)

第3章 町民と議会との関係(第4条)

第4章 行政と議会の関係(第5条~第8条)

第5章 議会運営(第9条・第10条)

第6章 議会機能の強化と体制整備(第11条~第14条)

第7章 議員の身分・待遇、政治倫理(第15条~第17条)

第8章 最高規範性、検証・見直し手続き(第18条・第19条)

附則

(前文)

高野町議会(以下「議会」という。)は、住民から直接選挙で選ばれた高野町議会議員(以下「議員」という。)で構成する町の最高意思決定機関であり、議事機関としての役割と責務を果たすことにより町民福祉の向上と町政の発展に寄与する使命を負っている。

議会は、多様な民意を的確に把握し、町政に反映させるとともに、常に「町民の代表」としての意識のもとに、町長等執行機関及びその職員(以下「町長等」という。)と独立対等で緊張ある関係を保ちながら、町の政策の決定と事務執行について監視及び評価を行い、さらに政策の立案及び提言を行うという重要な役割がある。

ここに、議会の運営及び議員の活動に関する基本的事項を明らかにし、議会の一層の活性化を推進し、町民の意向を的確に反映させ、公正性・透明性を基本とした活動を行うことにより、町民に信頼され、存在感のある議会となるため、本条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、議会・議員の役割及び責務を明らかにするとともに、活動原則等の基本的事項を定めることにより、町民の信頼に応え、町民福祉の向上と安心・安全・安寧な豊かなまちづくりに寄与することを目的とする。

第2章 議会及び議員の活動原則

(議会の活動原則)

第2条 議会は、次の各号に掲げる原則に基づき活動する。

(1) 公正性、透明性及び信頼性を確保して、開かれた魅力ある議会を目指す。

(2) 町民の意思が的確に反映され、町政運営が適正に行われているかを常に監視し、検証及び評価に努める。

(3) 町民の多様な意見を的確に把握し、町政に反映させるための活動を行うとともに、町民のための政策立案及び提言を行うよう努める。

(4) 町民が議会に関心を持ち、町政に参画する意欲が高まるよう町民にわかりやすく工夫した議会運営に努めるとともに、町民の傍聴の意欲を高める議会運営に努める。

(5) 議決責任を深く認識し、町の意思決定を行う。

(6) 議会に関する情報提供及び情報公開を積極的に推進し、町民に説明責任を果たすよう努める。

(7) 町民の生命又は生活に直接影響を及ぼす災害等が発生した場合は、行政と一体となり、迅速かつ適切に支援活動が行われるよう協力するとともに、議会としての業務を継続するよう努める。

(議員の活動原則)

第3条 議員は、次の各号に掲げる原則に基づき活動する。

(1) 議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを十分認識し、議員相互の言論を尊重し、議員間の自由な討議を積極的に行うよう努める。

(2) 自らの議員活動について、町民に対する説明責任を果たすよう努める。

(3) 自己の能力を高めるため日々の研鑽に努め、町民の代表としてふさわしい活動に努める。

(4) 町民全体の奉仕者であることを常に自覚し、一部の団体及び地域に偏ることなく、町政の発展と町民福祉の向上に努める。

第3章 町民と議会との関係

(町民と議会の関係)

第4条 議会は、議会活動に関する情報や議会が有する情報の提供・公開を徹底し、透明性を高めるとともに、町民に対する説明責任を十分に果たすよう努める。

2 議会は、本会議のほか、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会(以下「委員会等」という。)を原則公開する。

3 議会は、本会議、委員会等の運営に当たり、参考人制度や公聴会制度を活用し、必要に応じて町民や学識経験者等の意見を聴く機会を設け、専門的又は政策的識見等を議会の意思決定に反映させるよう努める。

4 議会は、請願及び陳情を町民による政策提案と位置づけ、審査においては、提出者の意見を聴く機会を設けるよう努める。

5 議会は、町民に対し議会報告会等を開催して議会の説明責任を果たすよう努めるとともに、町民の意見を的確に把握するため、議員と町民が自由に情報及び意見を交換する場を設けるよう努める。

6 議会は、議会モニター等を設置することにより、議会運営等の要望、提言など意見聴取を行うとともに、議会運営に反映するよう努める。

第4章 行政と議会の関係

(町長等と議会の関係)

第5条 議会は、議案等の審議及び審査において、町長等と対等な関係で政策論議を行うとともに、緊張ある関係の保持に努める。

2 本会議における議員と町長等との一般質問は、論点及び争点を明確にするため、一問一答方式で行うことができる。

3 本会議又は委員会等に出席した町長等は、論点又は争点を明確にするため、議員の質問及び質疑(以下「質問等」という。)に対して、議長又は委員長の許可を得て反問することができる。なお、反問できる内容は、質問等の内容、趣旨、背景及び根拠の確認とする。また、町長等の反問及び議員の回答は、質問の時間又は質疑の回数に含めないものとする。

4 議員は、一般質問に当たっては事前に充分な調査を行い、具体的な通告により、討議の充実を図り、目的を十分認識し、単に町長等への質問に終始することなく、政策提言等の建設的な議論を展開する。

5 議員は、会議及び委員会等における発言は町民の目線で要点のみをわかりやすく述べ、議題及び許可された趣旨の範囲を超えてはならず、また、無礼の言葉を使用したり、個人の私生活にわたる事柄、虚偽又は誹謗中傷及び個人の名誉を毀損するような発言をしてはならない。

6 議員は、二元代表制及び住民自治の観点から、政策の立案や執行に関わる諮問機関及び審議会等の委員については、法令等で定めるもの以外は、原則として就任しない。

(重要な政策等の形成過程の説明)

第6条 議会は、町長が提案する重要な計画、政策、施策、事業等(以下「政策等」という。)について、政策等の水準を高めるため、次に掲げる事項を説明するよう町長に求めることができる。

(1) 政策等の必要性

(2) 検討した他の政策等の内容

(3) 他の自治体の類似する政策等との比較検討

(4) 長期総合計画との整合性

(5) 関係する法令及び条例等

(6) 政策等の実施にかかる財源措置

(7) 政策等の将来にわたる効果及び費用

(8) その他議会が必要と判断する情報

(予算及び決算の説明資料)

第7条 議会は、予算及び決算の審議に当たっては、必要に応じてわかりやすい施策別又は事業別の説明資料を町長等に求めることができる。

(議決事項の拡大)

第8条 議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第96条第2項の規定による議会の議決すべき事件について、次のとおり定める。ただし、軽微な変更については、この限りではない。

(1) 高野町長期総合計画に係る基本構想及び基本計画の策定、変更又は廃止

(2) 高野町まち・ひと・しごと創生総合戦略の策定、変更又は廃止

(3) 高野町高齢者福祉計画及び介護保険事業計画の策定、変更又は廃止

(4) まちづくりに関する各種宣言・憲章の制定、変更又は廃止

(5) 他の自治体(国外を含む)との歴史友好都市及び姉妹都市の提携又は解消

第5章 議会運営

(自由な討議による合意形成)

第9条 議長及び委員長は、議員相互の自由な討議が積極的に行われるよう本会議及び委員会等の運営に努める。

2 議会は、議案等の審議又は審査においては、議員相互の自由な討議により議論を尽くして合意形成に努める。

(委員会の活動)

第10条 議会は、委員会等の運営に当たって、議案等の審査及びその所管に属する事務調査の充実を図り、それぞれの設置目的に応じた役割を果たすよう活動を行う。

2 委員会は、委員相互間の活発な討議を通じて、その専門性と特性を活かし、政策、条例、意見書等の案を積極的に提出するよう努める。

3 委員長は、自由討議による合意形成に努め、議論を尽くす中で委員長報告を自ら作成するとともに、質疑に対する答弁も責任を持って行う。

第6章 議会機能の強化と体制整備

(議会改革・活性化の推進)

第11条 議会は、町民の信頼を高めるため、積極的かつ継続的に議会改革及び活性化に努める。

2 議会は、他の自治体議会との交流及び連携を推進し、分権時代にふさわしい議会のあり方についての調査、研究を行う。

3 議会は、議会制度に係る法改正等があったとき、又は議会改革の推進の観点から必要があると認めるときは、速やかに調査、研究を行う。

(議員研修の充実強化)

第12条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上を図るため、議員研修の充実強化を図るよう努める。

2 議会は、議員研修の充実強化に当たり、各種議員研修、常任委員会とその所管事務調査、特別委員会、議員個々による政務調査、全員協議会、町民との懇談会、その他各種交流会等を積極的に活用するよう努める。

(議会広報及び広聴の充実)

第13条 議会は、「議会だより」のより一層の充実を図るとともに、情報通信技術の発展を踏まえた多様な広報手段を活用し、多くの町民が議会と町政に関心を持つよう議会の広報活動に努める。

2 議会は、町民の多様な意見及び提案を把握するため、町民アンケート等の広聴活動に努める。

(議会事務局の体制強化)

第14条 議会及び議員の政策立案機能を高めるため、議会事務局の調査・法務機能の強化を図るとともに、組織体制の充実に努める。

2 議事機関としての機能を確保するとともに、より円滑な議会運営を行うため、町長に対し必要な予算を確保するよう求める。

3 議会事務局は、議員のあらゆる議会活動に必要な資料や文献等の収集及び提供に努める。

4 議長は、議会事務局の職員人事に関し、その任免権を行使するものとし、あらかじめ町長と協議する。

第7章 議員の身分・待遇、政治倫理

(議員定数)

第15条 議員定数は、高野町議会議員の定数を定める条例(平成24年条例第21号)に定めるところによる。

2 議員定数の改正に当たっては、行財政改革の視点だけでなく、町政の現状と課題、将来の予測と展望を十分に考慮するとともに、議員活動の評価等に関して町民等の意見を積極的に聴取するよう努める。

3 議員定数の改正は、法第74条第1項の規定による町民の直接請求があった場合を除き、明確な改正理由を付して、議員又は委員会が提案する。

(議員報酬)

第16条 議員報酬は、高野町議会議員報酬、期末手当及び費用弁償に関する条例(昭和38年条例第16号)に定めるところによる。

2 議員報酬の改正に当たっては、行財政改革の視点だけでなく、町政の現状と課題、将来の予測と展望、町政における議員の活動・役割・責務を十分に考慮するとともに、議員活動の評価等に関して町民等の意見を積極的に聴取するよう努める。

3 議員報酬の改正は、法第74条第1項の規定による町民の直接請求があった場合及び町長が提出する場合を除き、明確な改正理由を付して、議員又は委員会が提案する。

(議員の政治倫理)

第17条 議員は、町民の信頼及び負託に応えるため、良識と責任感を持って常に品位を保持し、倫理の尊重に努める。

2 議員は、町民全体の代表者としての高い倫理性を常に自覚し、自己の地位に基づく影響力を不正に行使することによって、町民の疑惑を招くことのないよう行動する。

3 議員は、自らに疑惑が向けられた場合は、積極的に事実を明らかにする。

4 議員は、町から、事業の活動運営に対し、補助等を継続して受けている団体等の代表に就任しないよう努める。

第8章 最高規範性、検証・見直し手続き

(議会の最高規範)

第18条 この条例は、議会における最高規範であり、議会に関する他の条例、規則、規程等を制定し、又は改廃するときは、この条例に定める事項との整合性を図る。

2 議会は、議員にこの条例の理念を浸透させるため、選挙を経た任期開始後速やかに、この条例についての研修を行う。

(検証及び見直し手続き)

第19条 議会は、必要に応じてこの条例の目的が達成されているかどうかを検証する。

2 議会は、前項の検証の結果、議会関係条例等の改正が必要と認められる場合は、適切な措置を講じる。

3 議会は、この条例を改正する場合には、全議員の賛同する改正案であっても、本会議において、改正の理由及び背景を詳しく説明する。

(施行期日)

1 この条例は、令和5年4月1日から施行する。

(高野町都市宣言の議決に関する条例の廃止)

2 高野町都市宣言の議決に関する条例(平成28年条例第21号)は、廃止する。

(経過措置)

3 この条例施行の際、現に町長等の付属機関の委員に就任している議員は、第5条第6項の規定に関わらず、その付属機関の委員の任期満了又は中途退任まで在任するものとする。

高野町議会基本条例

令和5年3月27日 条例第18号

(令和5年4月1日施行)

体系情報
第2編
沿革情報
令和5年3月27日 条例第18号